原子力基本法
2023年6月7日改正分
第1条第1項
(目的)
この法律は、原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)を推進することによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。
変更後
この法律は、原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)を推進することによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、並びに学術の進歩、産業の振興及び地球温暖化の防止を図り、もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。
第2条第3項
(基本方針)
追加
エネルギーとしての原子力利用は、国及び原子力事業者(原子力発電に関する事業を行う者をいう。第二条の三及び第二条の四において同じ。)が安全神話に陥り、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故を防止することができなかつたことを真摯に反省した上で、原子力事故(原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第二条第一項に規定する原子炉の運転等に起因する事故をいう。以下同じ。)の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立つて、これを行うものとする。
第2条の2第1項
(国の責務)
追加
国は、エネルギーとしての原子力利用に当たつては、原子力発電を電源の選択肢の一つとして活用することによる電気の安定供給の確保、我が国における脱炭素社会(地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)第二条の二に規定する脱炭素社会をいう。第十六条の二第二項において同じ。)の実現に向けた発電事業における非化石エネルギー源(エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(平成二十一年法律第七十二号)第二条第二項に規定する非化石エネルギー源をいう。第十六条の二第二項において同じ。)の利用の促進及びエネルギーの供給に係る自律性の向上に資することができるよう、必要な措置を講ずる責務を有する。
第2条の2第2項
(国の責務)
追加
国は、エネルギーとしての原子力利用に当たつては、原子力施設(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。次条第四号及び第二条の四第一項において「原子炉等規制法」という。)第二条第七項に規定する原子力施設をいう。以下同じ。)の安全性の向上に不断に取り組むこと等によりその安全性を確保することを前提として、原子力事故による災害の防止に関し万全の措置を講じつつ、原子力施設が立地する地域及び電力の大消費地である都市の住民をはじめとする国民の原子力発電に対する信頼を確保し、その理解と協力を得るために必要な取組並びに地域振興その他の原子力施設が立地する地域の課題の解決に向けた取組を推進する責務を有する。
第2条の3第1項
(原子力利用に関する基本的施策)
追加
国は、原子力発電を適切に活用することができるよう、原子力施設の安全性を確保することを前提としつつ、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。
第2条の3第1項第1号
(原子力利用に関する基本的施策)
追加
原子力発電に係る高度な技術の維持及び開発を促進し、これらを行う人材の育成及び確保を図り、並びに当該技術の維持及び開発のために必要な産業基盤を維持し、及び強化するための施策
第2条の3第1項第2号
(原子力利用に関する基本的施策)
追加
原子力に関する研究及び開発に取り組む事業者、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構その他の関係者の相互の連携並びに当該研究及び開発に関する国際的な連携を強化するための施策その他の当該研究及び開発の推進並びにこれらの成果の円滑な実用化を図るための施策
第2条の3第1項第3号
(原子力利用に関する基本的施策)
追加
電気事業に係る制度の抜本的な改革が実施された状況においても、原子力事業者が原子力施設の安全性を確保するために必要な投資を行うことその他の安定的にその事業を行うことができる事業環境を整備するための施策
第2条の3第1項第4号
(原子力利用に関する基本的施策)
追加
原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律(平成十七年法律第四十八号)第二条第四項に規定する再処理等、同条第一項に規定する使用済燃料に係るその貯蔵能力の増加その他の対策及び原子炉等規制法第四十三条の三の三十三第一項に規定する廃止措置の円滑かつ着実な実施を図るための関係地方公共団体との調整その他の必要な施策
第2条の3第1項第5号
(原子力利用に関する基本的施策)
追加
最終処分(特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)第二条第二項に規定する最終処分をいう。以下この号において同じ。)に関する国民の理解を促進するための施策、最終処分の計画的な実施に向けた地方公共団体その他の関係者に対する主体的な働き掛け、同法第六条第二項に規定する文献調査対象地区又は同法第三条第二項第二号に規定する概要調査地区等をその区域に含む地方公共団体、最終処分に理解と関心を有する地方公共団体その他の関係者に対する関係府省の連携による支援、最終処分に関する研究開発の推進を図るための国際的な連携並びに原子力発電環境整備機構及び原子力事業者との連携の強化その他の最終処分の円滑かつ着実な実施を図るために必要な施策
第2条の4第1項
(原子力事業者の責務)
追加
原子力事業者は、エネルギーとしての原子力利用に当たつては、原子力事故の発生の防止及び原子炉等規制法第二条第六項に規定する特定核燃料物質の防護のために必要な措置を講じ、並びにその内容を不断に見直し、その他原子力施設の安全性の向上を図るための態勢を充実強化し、並びに関係地方公共団体その他の関係機関と連携しながら原子力事故に対処するための防災の態勢を充実強化するために必要な措置を講ずる責務を有する。
第2条の4第2項
(原子力事業者の責務)
追加
原子力事業者は、原子力施設が立地する地域の原子力発電に対する信頼を確保し、その理解を得ることがその事業の円滑な実施を図る上で極めて重要であることに鑑み、そのために必要な取組を推進しながら、国又は地方公共団体が実施する地域振興その他の原子力施設が立地する地域の課題の解決に向けた取組に協力する責務を有する。
第3条の4第1項第1号
(所掌事務)
原子力災害対策指針(原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第六条の二第一項に規定する原子力災害対策指針をいう。)に基づく施策の実施の推進その他の原子力事故(原子炉の運転等(原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第二条第一項に規定する原子炉の運転等をいう。)に起因する事故をいう。次号において同じ。)が発生した場合に備えた政府の総合的な取組を確保するための施策の実施の推進
変更後
原子力災害対策指針(原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第六条の二第一項に規定する原子力災害対策指針をいう。)に基づく施策の実施の推進その他の原子力事故が発生した場合に備えた政府の総合的な取組を確保するための施策の実施の推進
附則第1条第1項第3号
前二号に掲げる規定以外の規定
公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日
削除
附則第1条第1項
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、第二条中動力炉・核燃料開発事業団法第三十一条及び第三十二条第三項を削る改正規定並びに附則第五条及び第六条の規定については、公布の日から施行する。
削除
附則第2条第1項
動力炉・核燃料開発事業団(以下「事業団」という。)は、この法律の施行の時において、核燃料サイクル開発機構(以下「機構」という。)となるものとする。
削除
附則第3条第2項
機構は、前項の規定による請求があったときは、この法律による改正後の核燃料サイクル開発機構法(以下「新法」という。)第七条第一項の規定にかかわらず、当該持分に係る出資額に相当する金額により払戻しをしなければならない。
この場合において、機構は、その払戻しをした金額により資本金を減少するものとする。
削除
附則第4条第1項
この法律の施行の際現に核燃料サイクル開発機構という名称を使用している者については、新法第九条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
削除
附則第5条第1項
この法律の施行の日の前日において事業団の役員である者の任期は、この法律による改正前の動力炉・核燃料開発事業団法第十四条第一項の規定にかかわらず、その日に満了する。
削除
附則第6条第1項
内閣総理大臣は、この法律の施行の日前において、原子力委員会の議決を経て新法第二十七条第一項の規定による基本方針を定めなければならない。
削除
附則第6条第2項
内閣総理大臣は、前項の規定により基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、大蔵大臣及び通商産業大臣に協議しなければならない。
ただし、通商産業大臣との協議は、新法第二十四条第一項第一号イ、ロ及びニに掲げる業務に係る事項に限られるものとする。
削除
附則第7条第1項
この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
削除
附則第1条第1項第2号
附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条の規定
公布の日
削除
附則第3条第1項
この法律の施行の際現に従前の総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省又は自治省(以下この条において「従前の府省」という。)の職員(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の審議会等の会長又は委員長及び委員、中央防災会議の委員、日本工業標準調査会の会長及び委員並びに これらに類する者として政令で定めるものを除く。)である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもって、この法律の施行後の内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省若しくは環境省(以下この条において「新府省」という。)又はこれに置かれる部局若しくは機関のうち、この法律の施行の際現に当該職員が属する従前の府省又はこれに置かれる部局若しくは機関の相当の新府省又はこれに置かれる部局若しくは機関として政令で定めるものの相当の職員となるものとする。
削除
附則第1条第1項第1号
附則第十四条第二項、第十八条及び第三十条の規定
公布の日
削除
附則第29条第1項
この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
削除
附則第1条第1項
(施行期日)
追加
この法律は、令和六年四月一日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
附則第1条第1項第1号
(施行期日)
追加
第五条の規定(原子力基本法第六章に一条を加える改正規定を除く。)並びに附則第十三条、第十五条、第十六条及び第二十六条の規定
公布の日
附則第1条第1項第2号
(施行期日)
附則第1条第1項第4号
(施行期日)
追加
第一条中電気事業法目次の改正規定(「第二十七条の二十九」を「第二十七条の二十九の六」に改める部分に限る。)、同法第二十七条の二十九の改正規定、同法第二章第五節に五条を加える改正規定、同法第五十四条の改正規定、同法第百六条第一項の改正規定、同法第百八条第一項の改正規定、同法第百十二条の三の見出し及び同条第一項の改正規定、同法第百十六条の改正規定、同法第百二十条第一号の改正規定並びに同法第百二十一条第一号及び第三号の改正規定、第二条の規定(第二号に掲げる改正規定を除く。次条第一項及び附則第三条において同じ。)並びに第五条の規定(原子力基本法第六章に一条を加える改正規定に限る。)並びに次条並びに附則第三条、第十八条第二項及び第三項、第二十条(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)附則第九条第二十一項の改正規定に限る。)、第二十一条並びに第二十二条の規定
公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日
附則第15条第1項
(原子力基本法の一部改正に伴う経過措置)
追加
附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から施行日の前日までの間における第五条の規定(同号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の原子力基本法(次条及び附則第十八条第二項において「新原子力基本法」という。)第二条の三第四号の規定の適用については、同号中「原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律」とあるのは、「原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律」とする。
附則第16条第1項
追加
附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から第四号施行日の前日までの間における新原子力基本法第二条の二第一項の規定の適用については、同項中「いう。第十六条の二第二項において同じ」とあるのは、「いう」とする。
附則第26条第1項
(政令への委任)
追加
この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。