刑法
2023年6月23日改正分
第3条第1項第5号
(国民の国外犯)
第百七十六条から第百八十一条まで(強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、未遂罪、強制わいせつ等致死傷)及び第百八十四条(重婚)の罪
変更後
第百七十六条、第百七十七条及び第百七十九条から第百八十一条まで(不同意わいせつ、不同意性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、未遂罪、不同意わいせつ等致死傷)並びに第百八十四条(重婚)の罪
第3条第1項第14号
(国民の国外犯)
第二百三十五条から第二百三十六条まで(窃盗、不動産侵奪、強盗)、第二百三十八条から第二百四十条まで(事後強盗、昏
酔強盗、強盗致死傷)、第二百四十一条第一項及び第三項(強盗・強制性交等及び同致死)並びに第二百四十三条(未遂罪)の罪
変更後
第二百三十五条から第二百三十六条まで(窃盗、不動産侵奪、強盗)、第二百三十八条から第二百四十条まで(事後強盗、昏酔強盗、強盗致死傷)、第二百四十一条第一項及び第三項(強盗・不同意性交等及び同致死)並びに第二百四十三条(未遂罪)の罪
第3条の2第1項第1号
(国民以外の者の国外犯)
第百七十六条から第百八十一条まで(強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、未遂罪、強制わいせつ等致死傷)の罪
変更後
第百七十六条、第百七十七条及び第百七十九条から第百八十一条まで(不同意わいせつ、不同意性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、未遂罪、不同意わいせつ等致死傷)の罪
第3条の2第1項第6号
(国民以外の者の国外犯)
第二百三十六条(強盗)、第二百三十八条から第二百四十条まで(事後強盗、昏酔強盗、強盗致死傷)並びに第二百四十一条第一項及び第三項(強盗・強制性交等及び同致死)の罪並びにこれらの罪(同条第一項の罪を除く。)の未遂罪
変更後
第二百三十六条(強盗)、第二百三十八条から第二百四十条まで(事後強盗、昏酔強盗、強盗致死傷)並びに第二百四十一条第一項及び第三項(強盗・不同意性交等及び同致死)の罪並びにこれらの罪(同条第一項の罪を除く。)の未遂罪
第33条第2項
(時効の停止)
追加
拘禁刑、罰金、拘留及び科料の時効は、刑の言渡しを受けた者が国外にいる場合には、その国外にいる期間は、進行しない。
第97条第1項
(逃走)
裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。
変更後
法令により拘禁された者が逃走したときは、三年以下の懲役に処する。
第98条第1項
(加重逃走)
前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
変更後
前条に規定する者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
第176条第1項
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。
十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
削除
追加
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
第176条第1項第1号
(不同意わいせつ)
追加
暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
第176条第1項第2号
(不同意わいせつ)
追加
心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
第176条第1項第3号
(不同意わいせつ)
追加
アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
第176条第1項第4号
(不同意わいせつ)
追加
睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
第176条第1項第5号
(不同意わいせつ)
追加
同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
第176条第1項第6号
(不同意わいせつ)
追加
予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
第176条第1項第7号
(不同意わいせつ)
追加
虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
第176条第1項第8号
(不同意わいせつ)
追加
経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
第176条第2項
(不同意わいせつ)
追加
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
第176条第3項
(不同意わいせつ)
追加
十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
第177条第1項
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛
門性交又は口腔
性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
削除
追加
前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
第177条第2項
(不同意性交等)
追加
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
第177条第3項
(不同意性交等)
追加
十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
第178条第1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
削除
第178条第2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
削除
第179条第1項
(監護者わいせつ及び監護者性交等)
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
変更後
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条第一項の例による。
第179条第2項
(監護者わいせつ及び監護者性交等)
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。
変更後
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条第一項の例による。
第180条第1項
(未遂罪)
第百七十六条から前条までの罪の未遂は、罰する。
変更後
第百七十六条、第百七十七条及び前条の罪の未遂は、罰する。
第181条第1項
(不同意わいせつ等致死傷)
第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
変更後
第百七十六条若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
第181条第2項
(不同意わいせつ等致死傷)
第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。
変更後
第百七十七条若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。
第182条第1項
(淫行勧誘)
営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦
淫させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
移動
第183条第1項
変更後
営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
追加
わいせつの目的で、十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
第182条第1項第1号
(十六歳未満の者に対する面会要求等)
追加
威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。
第182条第1項第2号
(十六歳未満の者に対する面会要求等)
追加
拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。
第182条第1項第3号
(十六歳未満の者に対する面会要求等)
追加
金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。
第182条第2項
(十六歳未満の者に対する面会要求等)
追加
前項の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該十六歳未満の者と面会をした者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
第182条第3項
(十六歳未満の者に対する面会要求等)
追加
十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為(第二号に掲げる行為については、当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。)を要求した者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
第182条第3項第1号
(十六歳未満の者に対する面会要求等)
追加
性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること。
第182条第3項第2号
(十六歳未満の者に対する面会要求等)
追加
前号に掲げるもののほか、膣又は肛門に身体の一部(陰茎を除く。)又は物を挿入し又は挿入される姿態、性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下この号において同じ。)を触り又は触られる姿態、性的な部位を露出した姿態その他の姿態をとってその映像を送信すること。
第183条第1項
第241条第1項
(強盗・不同意性交等及び同致死)
強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強制性交等の罪(第百七十九条第二項の罪を除く。以下この項において同じ。)若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は強制性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は七年以上の懲役に処する。
変更後
強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が第百七十七条の罪若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は同条の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は七年以上の懲役に処する。
附則第2条第2項
この法律による改正前の刑法(以下「旧法」という。)第百八十条又は第二百二十九条本文の規定により告訴がなければ公訴を提起することができないとされていた罪(旧法第二百二十四条の罪及び同条の罪を幇
助する目的で犯した旧法第二百二十七条第一項の罪並びにこれらの罪の未遂罪を除く。)であってこの法律の施行前に犯したものについては、この法律の施行の際既に法律上告訴がされることがなくなっているものを除き、この法律の施行後は、告訴がなくても公訴を提起することができる。
削除
附則第1条第1項第1号
(施行期日)
追加
第二条中刑法第三十三条に一項を加える改正規定並びに附則第九条及び第十条第一項の規定
公布の日
附則第1条第1項第2号
(施行期日)
追加
第一条中刑事訴訟法第三百四十四条に一項を加える改正規定、第二条中刑法第九十七条及び第九十八条の改正規定並びに第三条中出入国管理及び難民認定法第七十二条の改正規定(第一号を削り、第二号を第一号とし、第三号から第八号までを一号ずつ繰り上げる部分に限る。第六号において「第七十二条第一号を削る改正規定」という。)並びに附則第五条第一項及び第二項、第八条第四項並びに第二十条の規定、附則第二十四条中国際受刑者移送法(平成十四年法律第六十六号)第四十二条の改正規定、附則第二十七条中刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)第二百九十三条の改正規定、附則第二十八条第二項、第三十条及び第三十一条の規定、附則第三十二条中少年鑑別所法(平成二十六年法律第五十九号)第百三十二条の改正規定、附則第三十五条のうち、刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号。以下「刑法等一部改正法」という。)第三条中刑事訴訟法第三百四十四条の改正規定の改正規定及び刑法等一部改正法第十一条中少年鑑別所法第百三十二条の改正規定を削る改正規定並びに附則第三十六条及び第四十条の規定
公布の日から起算して二十日を経過した日
附則第1条第1項第3号
(施行期日)
附則第1条第1項第7号
(施行期日)
追加
附則第五条第三項、第六条第三項、第八条第五項から第七項まで、第十条第二項並びに第十一条第三項及び第四項の規定
刑法等一部改正法の施行の日(以下「刑法等一部改正法施行日」という。)
附則第9条第1項
(刑の時効の停止に関する経過措置)
追加
第二条の規定による改正後の刑法(次条において「新刑法」という。)第三十三条第二項の規定は、刑の言渡しを受けた者が附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日(次条第一項において「第一号施行日」という。)以後に国外にいる期間について、適用する。
附則第10条第1項
(刑法に係る拘禁刑に関する経過措置)
追加
第一号施行日から刑法等一部改正法施行日の前日までの間における新刑法第三十三条第二項の規定の適用については、同項中「拘禁刑」とあるのは、「懲役、禁錮」とする。
附則第40条第1項
(罰則に関する経過措置)
追加
第二号施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則第1条第1項
(施行期日)
追加
この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
附則第2条第1項
(罰則の適用に関する経過措置)
追加
この法律の施行前にした行為の処罰については、なお従前の例による。
附則第2条第2項
(罰則の適用に関する経過措置)
追加
前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における第一条の規定による改正前の刑法(以下「旧刑法」という。)第百七十六条から第百七十八条までの罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者は、第三条の規定による改正後の刑事訴訟法(以下「新刑事訴訟法」という。)第百五十七条の六第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる者とみなす。
附則第2条第3項
(罰則の適用に関する経過措置)
追加
第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪又はこれらの罪の未遂罪に係る事件は、新刑事訴訟法第二百九十条の二第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる事件とみなす。
附則第2条第4項
(罰則の適用に関する経過措置)
追加
第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪は、新刑事訴訟法第三百十六条の三十三第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる罪とみなす。
附則第3条第1項
追加
刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日(以下この条において「刑法施行日」という。)の前日までの間における第一条の規定による改正後の刑法第百七十六条、第百七十七条及び第百八十二条の規定の適用については、同法第百七十六条第一項及び第百八十二条中「拘禁刑」とあるのは「懲役」と、同法第百七十七条第一項中「有期拘禁刑」とあるのは「有期懲役」とする。
刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対する同法第百七十六条、第百七十七条及び第百八十二条の規定の適用についても、同様とする。
附則第20条第1項
(検討等)
追加
政府は、性的な被害に係る犯罪規定が社会の受け止め方を踏まえて処罰対象を適切に決すべきものであるという特質を有し、また、その改正がそれぞれの時代の性的な被害の実態及びこれに対する社会の意識の変化に対応していること等に鑑み、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定及び性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和五年法律第六十七号)の規定(以下「新刑法等の規定」という。)の施行の状況を勘案し、新刑法等の規定の施行後の性的な被害の実態及びこれに対する社会の受け止め方や社会の意識、とりわけ性的同意についての意識も踏まえつつ、速やかに性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則第20条第2項
(検討等)
追加
政府は、前項の検討がより実証的なものとなるよう、性的な被害を申告することの困難さその他性的な被害の実態について、必要な調査を行うものとする。
附則第21条第1項
(周知)
追加
政府は、新刑法等の規定が、性的な被害の実態及びこれに対する社会の意識の変化に対応して、刑罰を伴う新たな行為規範を定めるものであることに鑑み、その趣旨及び内容について国民に周知を図るものとする。