会社更生法
2019年5月17日改正分
第50条第1項
(他の手続の中止等)
更生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始若しくは特別清算開始の申立て、更生会社の財産に対する第二十四条第一項第二号に規定する強制執行等、企業担保権の実行若しくは同項第六号に規定する外国租税滞納処分又は更生債権等に基づく財産開示手続の申立てはすることができず、破産手続、再生手続、更生会社の財産に対して既にされている同項第二号に規定する強制執行等の手続、企業担保権の実行手続及び同項第六号に規定する外国租税滞納処分並びに更生債権等に基づく財産開示手続は中止し、特別清算手続はその効力を失う。
変更後
更生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始若しくは特別清算開始の申立て、更生会社の財産に対する第二十四条第一項第二号に規定する強制執行等、企業担保権の実行若しくは同項第六号に規定する外国租税滞納処分又は更生債権等に基づく財産開示手続若しくは第三者からの情報取得手続の申立てはすることができず、破産手続、再生手続、更生会社の財産に対して既にされている同項第二号に規定する強制執行等の手続、企業担保権の実行手続及び同項第六号に規定する外国租税滞納処分並びに更生債権等に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は中止し、特別清算手続はその効力を失う。
第52条の2第1項
(債権者代位訴訟、詐害行為取消訴訟等の取扱い)
民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十三条若しくは第四百二十四条の規定により更生債権者の提起した訴訟又は破産法若しくは民事再生法の規定による否認の訴訟若しくは否認の請求を認容する決定に対する異議の訴訟が更生手続開始当時係属するときは、その訴訟手続は、中断する。
変更後
民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十三条第一項、第四百二十三条の七若しくは第四百二十四条第一項の規定により更生債権者の提起した訴訟又は破産法若しくは民事再生法の規定による否認の訴訟若しくは否認の請求を認容する決定に対する異議の訴訟が更生手続開始当時係属するときは、その訴訟手続は、中断する。
第86条第1項第1号
(更生債権者等を害する行為の否認)
更生会社が更生債権者等を害することを知ってした行為。
ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、更生債権者等を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
変更後
更生会社が更生債権者等を害することを知ってした行為。
ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、更生債権者等を害することを知らなかったときは、この限りでない。
第86条第1項第2号
(更生債権者等を害する行為の否認)
更生会社が支払の停止又は更生手続開始、破産手続開始、再生手続開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした更生債権者等を害する行為。
ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び更生債権者等を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
変更後
更生会社が支払の停止又は更生手続開始、破産手続開始、再生手続開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした更生債権者等を害する行為。
ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び更生債権者等を害することを知らなかったときは、この限りでない。
第86条の2第1項第1号
(相当の対価を得てした財産の処分行為の否認)
当該行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、更生会社において隠匿、無償の供与その他の更生債権者等を害する処分(以下この条並びに第九十一条の二第二項及び第三項において「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。
変更後
当該行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、更生会社において隠匿、無償の供与その他の更生債権者等を害することとなる処分(以下「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。
第86条の3第1項第2号
(特定の債権者に対する担保の供与等の否認)
更生会社の義務に属せず、又はその時期が更生会社の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。
ただし、債権者がその行為の当時他の更生債権者等を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
変更後
更生会社の義務に属せず、又はその時期が更生会社の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。
ただし、債権者がその行為の当時他の更生債権者等を害することを知らなかったときは、この限りでない。
第91条第2項
(否認権行使の効果)
第八十六条第三項に規定する行為が否認された場合において、相手方は、当該行為の当時、支払の停止等があったこと及び更生債権者等を害する事実を知らなかったときは、その現に受けている利益を償還すれば足りる。
変更後
第八十六条第三項に規定する行為が否認された場合において、相手方は、当該行為の当時、支払の停止等があったこと及び更生債権者等を害することを知らなかったときは、その現に受けている利益を償還すれば足りる。
第93条第1項
次に掲げる場合には、否認権は、転得者に対しても、行使することができる。
削除
追加
次の各号に掲げる場合において、否認しようとする行為の相手方に対して否認の原因があるときは、否認権は、当該各号に規定する転得者に対しても、行使することができる。
ただし、当該転得者が他の転得者から転得した者である場合においては、当該転得者の前に転得した全ての転得者に対しても否認の原因があるときに限る。
第93条第1項第1号
(転得者に対する否認権)
転得者が転得の当時、それぞれその前者に対する否認の原因のあることを知っていたとき。
変更後
転得者が転得の当時、更生会社がした行為が更生債権者等を害することを知っていたとき。
第93条第1項第2号
(転得者に対する否認権)
転得者が第八十六条の二第二項各号に掲げる者のいずれかであるとき。
ただし、転得の当時、それぞれその前者に対する否認の原因のあることを知らなかったときは、この限りでない。
変更後
転得者が第八十六条の二第二項各号に掲げる者のいずれかであるとき。
ただし、転得の当時、更生会社がした行為が更生債権者等を害することを知らなかったときは、この限りでない。
第93条第1項第3号
(転得者に対する否認権)
転得者が無償行為又はこれと同視すべき有償行為によって転得した場合において、それぞれその前者に対して否認の原因があるとき。
変更後
転得者が無償行為又はこれと同視すべき有償行為によって転得した者であるとき。
第93条の2第1項
(更生会社の受けた反対給付に関する転得者の権利等)
追加
更生会社がした第八十六条第一項若しくは第三項又は第八十六条の二第一項に規定する行為が転得者に対する否認権の行使によって否認されたときは、転得者は、第九十一条の二第一項各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
ただし、同項第一号に掲げる場合において、更生会社の受けた反対給付の価額が、第四項に規定する転得者がした反対給付又は消滅した転得者の債権の価額を超えるときは、転得者は、共益債権者として更生会社の受けた反対給付の価額の償還を請求する権利を行使することができる。
第93条の2第2項
(更生会社の受けた反対給付に関する転得者の権利等)
追加
前項の規定にかかわらず、第九十一条の二第一項第二号に掲げる場合において、当該行為の当時、更生会社が対価として取得した財産について隠匿等の処分をする意思を有し、かつ、当該行為の相手方が更生会社がその意思を有していたことを知っていたときは、転得者は、同条第二項各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
第93条の2第3項
(更生会社の受けた反対給付に関する転得者の権利等)
追加
前項の規定の適用については、当該行為の相手方が第八十六条の二第二項各号に掲げる者のいずれかであるときは、その相手方は、当該行為の当時、更生会社が前項の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
第93条の2第4項
(更生会社の受けた反対給付に関する転得者の権利等)
追加
第一項及び第二項の規定による権利の行使は、転得者がその前者から財産を取得するためにした反対給付又はその前者から財産を取得することによって消滅した債権の価額を限度とする。
第93条の2第5項
(更生会社の受けた反対給付に関する転得者の権利等)
追加
管財人は、第一項に規定する行為を転得者に対する否認権の行使によって否認しようとするときは、第九十一条第一項の規定により更生会社財産に復すべき財産の返還に代えて、転得者に対し、当該財産の価額から前各項の規定により共益債権となる額(第九十一条の二第一項第一号に掲げる場合(第一項ただし書に該当するときを除く。)にあっては、更生会社の受けた反対給付の価額)を控除した額の償還を請求することができる。
第93条の3第1項
(相手方の債権に関する転得者の権利)
追加
更生会社がした第八十六条の三第一項に規定する行為が転得者に対する否認権の行使によって否認された場合において、転得者がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、転得者は、当該行為がその相手方に対する否認権の行使によって否認されたとすれば第九十二条の規定により原状に復すべき相手方の債権を行使することができる。
この場合には、前条第四項の規定を準用する。
第98条第1項
(否認権行使の期間)
否認権は、更生手続開始の日(更生手続開始の日より前に破産手続又は再生手続が開始されている場合にあっては、破産手続開始又は再生手続開始の日)から二年を経過したときは、行使することができない。
否認しようとする行為の日から二十年を経過したときも、同様とする。
変更後
否認権は、更生手続開始の日(更生手続開始の日より前に破産手続又は再生手続が開始されている場合にあっては、破産手続開始又は再生手続開始の日)から二年を経過したときは、行使することができない。
否認しようとする行為の日から十年を経過したときも、同様とする。
第100条第4項
(役員等の責任の査定の申立て等)
第一項の申立て又は前項の決定があったときは、時効の中断に関しては、裁判上の請求があったものとみなす。
変更後
第一項の申立て又は前項の決定があったときは、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求があったものとみなす。
第134条第3項
開始後債権に基づく更生会社の財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、担保権の実行及び企業担保権の実行並びに開始後債権に基づく財産開示手続の申立ては、前項に規定する期間は、することができない。
開始後債権である共助対象外国租税の請求権に基づく更生会社の財産に対する国税滞納処分の例によってする処分についても、同様とする。
変更後
開始後債権に基づく更生会社の財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、担保権の実行及び企業担保権の実行並びに開始後債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続の申立ては、前項に規定する期間は、することができない。
開始後債権である共助対象外国租税の請求権に基づく更生会社の財産に対する国税滞納処分の例によってする処分についても、同様とする。
第136条第1項第1号
(更生債権者等の議決権)
更生手続開始後に期限が到来すべき確定期限付債権で無利息のもの
更生手続開始の時から期限に至るまでの期間の年数(その期間に一年に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)に応じた債権に対する法定利息を債権額から控除した額
変更後
更生手続開始後に期限が到来すべき確定期限付債権で無利息のもの
更生手続開始の時から期限に至るまでの期間の年数(その期間に一年に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)に応じた債権に対する更生手続開始の時における法定利率による利息を債権額から控除した額
第136条第1項第2号
(更生債権者等の議決権)
金額及び存続期間が確定している定期金債権
各定期金につき前号の規定に準じて算定される額の合計額(その額が法定利率によりその定期金に相当する利息を生ずべき元本額を超えるときは、その元本額)
変更後
金額及び存続期間が確定している定期金債権
各定期金につき前号の規定に準じて算定される額の合計額(その額が更生手続開始の時における法定利率によりその定期金に相当する利息を生ずべき元本額を超えるときは、その元本額)
第208条第1項
(中止した手続等の失効)
更生計画認可の決定があったときは、第五十条第一項の規定により中止した破産手続、再生手続(当該再生手続において、民事再生法第三十九条第一項の規定により中止した破産手続並びに同法第二十六条第一項第二号に規定する再生債権に基づく強制執行等の手続及び同項第五号に規定する再生債権に基づく外国租税滞納処分を含む。)、第二十四条第一項第二号に規定する強制執行等の手続、企業担保権の実行手続、同項第六号に規定する外国租税滞納処分及び財産開示手続は、その効力を失う。
ただし、第五十条第五項の規定により続行された手続又は処分については、この限りでない。
変更後
更生計画認可の決定があったときは、第五十条第一項の規定により中止した破産手続、再生手続(当該再生手続において、民事再生法第三十九条第一項の規定により中止した破産手続並びに同法第二十六条第一項第二号に規定する再生債権に基づく強制執行等の手続及び同項第五号に規定する再生債権に基づく外国租税滞納処分を含む。)、第二十四条第一項第二号に規定する強制執行等の手続、企業担保権の実行手続、同項第六号に規定する外国租税滞納処分、財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は、その効力を失う。
ただし、第五十条第五項の規定により続行された手続又は処分については、この限りでない。
附則第1条第1項第5号イ
附則第1条第1項
この法律は、平成三十一年一月七日から施行する。
削除
追加
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
附則第1条第1項第1号
(施行期日)
附則第20条第1項
(政令への委任)
追加
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。