東京高等裁判所における判例

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  •  法人税更正処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成18年(行ウ)第286号)(東京高判平成21年07月30日)
    裁判所名:
    事件番号:平成20(行コ)104
    法人税について更正処分及び重加算税賦課決定処分を受けた法人が,これらの処分についての取消訴訟を提起した後,増額再更正処分及び第2次重加算税の賦課決定処分を受けたことから,同各処分の送達を受けた日から6か月を経過した後に訴えの変更を申し立てた場合において,前記第2次重加算税の賦課決定処分の取消しを求める部分につき,出訴期間の遵守の有無は,変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けることがないと解すべき特段の事情があるときを除き,訴えの変更の時を基準としてこれを決すべきところ,前記第2次重加算税の賦課決定処分は,前記再更正処分における税額のうち増加部分を基礎として計算されたものであって,前記更正処分における税額全体を基礎として計算された当初の重加算税賦課決定処分とは実質的に何ら重なるところのない別個のものであり,前記更正処分及び前記当初の重加算税賦課決定処分とは違法事由が異なり,争点を異にするものであるなどとして,出訴期間の遵守において欠けることがないと解すべき特段の事情は認められないとした事例
  •  損害賠償(住民訴訟)請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成20年(行ウ)第25号)(東京高判平成21年07月22日)
    裁判所名:
    事件番号:平成21(行コ)113
    都営住宅の入居者で組織する団地自治会及び自主管理委員会が,事業主体である東京都の許可を受けることなく同都営住宅の敷地内に駐車場を設けて入居者に自動車を駐車させ,会費名目で金員を徴収したことなどにより前記自治体に不当利得が生じたとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,前記自治会に不当利得の請求をすることを都知事に対して求める請求につき,東京都は,都営住宅の入居者で組織する自治会に対し,自主的に敷地内の駐車秩序の維持及び共同施設の管理運営についての秩序維持を行うことを許しているところ,前記都営住宅の入居者で組織する団地自治会は,前記自主管理委員会が東京都又は東京都知事の許可を得ることなく前記都営住宅の共用部分を自家用車の駐車場として占有及び使用させていることを知りながら,東京都から許された管理の趣旨に反してこれを容認することによって,前記自主管理委員会から個々の会員の会費の全部又は一部を助成金名目で受領しており,前記自治体が自家用車の駐車に関わっていないことからすると,東京都は前記自治会に対して不当利得返還請求権を有しており,また,前記不当利得返還請求権は,その債権金額が少額とはいえず,前記自治体は,団地の敷地内の空き地を入居者が駐車場として占有し使用することの対価の性質を有する金員を受領していたことなどからすると,東京都知事に前記不当利得返還請求権を行使させることが不適当であるとはいえず,地方自治法施行令171条の5第3項の適用はないとして,前記請求を認容した事例
  •  都税還付加算金還付請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第43号)(東京高判平成21年07月15日)
    裁判所名:
    事件番号:平成20(行コ)364
    税務署長から法人税の決定を受けた法人が,それまで申告納付をしていなかった当該事業年度分の都民税につき確定申告書を提出して,これを納付したところ,その後に前記法人税について減額更正がされたため,都民税の法人税割についても減額更正がされた場合において,還付加算金は民法上の不当利得における利息に相当し,その法律関係は私法上の債権債務関係と何ら異なるものではないから前記法人税割に係る過納金についての還付加算金にも民法405条の適用があるとした事例
  •  原告所有小型船舶の河川水利使用権利確認請求控訴事件(原審・横浜地方裁判所平成19年(行ウ)第89号)(東京高判平成21年07月08日)
    裁判所名:
    事件番号:平成21(行コ)84
    県知事がした河川法75条1項に基づく河川区域内に係留中の船舶の撤去命令の取消しを求める訴えにつき,船舶が河川区域から任意に移動したとしても,それが一時的,暫定的なものであって,容易に元の係留場所に戻り,占用を継続することが可能である場合には,船舶の移動をもって占用が解消されて前記撤去命令の目的が達成されたとはいえないとして,前記訴えに,訴えの利益があるとした事例
  •  産業廃棄物処分業変更許可処分取消請求控訴事件,同附帯控訴事件(原審・さいたま地方裁判所平成14年(行ウ)第52号)(東京高判平成21年07月01日)
    裁判所名:
    事件番号:平成19(行コ)85
    廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前)14条の2第1項に基づいてされた産業廃棄物処分業変更許可処分に対し,周辺住民が同処分の取消しを求める訴えを提起した後,新たな産業廃棄物処分業変更許可がされた場合につき,行政事件訴訟法に定める処分の取消しの訴えは,その処分によって違法に自己の権利又は法律上保護されている利益の侵害を受けた者がその処分の取消しによってその法益を回復することを目的とする訴えであるから,訴訟係属中に侵害状態が解消されたことにより,判決の効果によって侵害状態を解消して法益を回復する可能性が皆無となった場合には,その処分が違法であっても,処分の取消しの訴えとしてはその利益を欠くとした上,前記訴えにおいて取消しの対象となっている当初の変更許可に係る事業及びそのための施設を廃止して別の事業を新しい施設を使用して行うことが新たに変更許可された場合には,当初の変更許可の取消しを求める訴えは,判決の効果によって侵害状態を解消し法益を回復することが出来なくなったというべきであるとして,同訴えに係る訴えの利益は失われるとした事例
  •  行政処分取消請求控訴事件(原審・さいたま地方裁判所平成19年(行ウ)第29号)(東京高判平成21年06月18日)
    裁判所名:
    事件番号:平成20(行コ)295
    市が施行した土地区画整理事業に係る換地処分のうち,固定資産税課税標準額(ただし,地方税法(平成18年法律第7号による改正前。以下同じ。)349条の3の2に規定する住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例が適用されたもの)に基づき算定された清算金額の取消しを求める請求につき,土地区画整理法94条に規定する清算金の算定は土地の適正な評価額を基準として行うべきものとされていることは明らかであるところ,施行地域内の広大な面積に及ぶ多数の従前地及び換地の双方につき同一時点における公平かつ迅速な評価をすることが要請される土地区画整理事業の特質にかんがみれば,一般に,換地処分の際の清算金の算定に当たってその評価につき固定資産税課税標準額を用いることは,許容され得るものと解されるが,それは固定資産税課税標準額が原則として適正な時価である価格をいうとされているためであるから,具体的な固定資産税課税標準額が当該固定資産の適正な評価額を表していないことが明らかである場合において,当該固定資産税課税標準額を用いることが許されないことは前記清算金制度の趣旨に照らして自明であるとした上,地方税法349条の3の2に規定する住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例は,住宅用地について,住宅政策上の観点から税負担の軽減を図る趣旨で設けられたもので,当該住宅用地に係る課税標準額を機械的に3分の1に減ずる手法を採用するものであるから,同特例が適用された固定資産税課税標準額は,当該住宅用地の評価額を意味するものではなく,前記清算金の算定は土地区画整理法94条に違反するものであることは明らかであるとして,前記請求を認容した事例
  •  各不当労働行為救済命令取消請求控訴事件(東京高判平成21年06月18日)
    裁判所名:
    事件番号:平成20(行コ)394
  •  裁決取消請求事件(東京高判平成21年06月17日)
    裁判所名:
    事件番号:平成20(行ケ)7
    湖と外洋を結ぶ水路において竿釣りを行う目的で漂泊中の船舶と衝突した漁船の船長に対し,同船長には前記船舶の動静監視を十分に行うべき注意義務を怠った過失があるとして高等海難審判庁がした戒告の裁決につき,前記水路は港則法35条が規定する「船舶交通の妨げとなる虞れのある港内の場所」に当たるが,同条の規定は,「みだりに漁ろう」をすることを禁止するものであって,およそ漁ろうを禁止するものではないのみならず,漁ろう以外の目的での漂泊を禁止するものでも,漂泊中の船舶と航行中の船舶との衝突回避のための航法を定めた規定でもないとした上で,進行中の船舶と漂泊中の船舶との衝突を避けるための具体的な衝突回避のための航法を定めた規定はないものの,同法38条,39条においては,海上交通の特殊性から法規制の行われていない場面で運行上の危険や衝突の危険がある場合には,海事関係者の間で確立された良き慣行である船員の常務に委ねられていることからすると,前記衝突における責任の有無については前記船員の常務に基づき判断するのが相当であり,前記船長には船舶の航行に際して前記船舶の動静を注視し,進路前方の安全を確認すべき注意義務を怠った過失があるとして,前記裁決を適法とした事例
  •  新東京国際空港にかかる工事実施計画の変更認可処分取消等請求控訴事件(原審・千葉地方裁判所平成12年(行ウ)第14号)(東京高判平成21年06月01日)
    裁判所名:
    事件番号:平成19(行コ)393
    1 中央省庁等改革関係法施行法(平成11年法律第160号)により国土交通大臣がしたとみなされる新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前。以下同じ)55条の3第1項に基づく新東京国際空港の航空保安無線施設及び航空灯火の各工事実施計画変更認可につき,同法55条の3第1項に基づく,前記空港の工事実施計画又は変更工事実施計画の認可は,公団に対し,前記空港の設置工事又は変更工事の実施権限を付与するものであるから,いずれも抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されるところ,同項は,前記空港と航空保安施設とを併記した上,航空保安施設の設置又は重要な変更についても,前記空港の設置又は重要な変更と同様に,工事実施計画又は変更工事実施計画について国土交通大臣の認可を受けなければならない旨を規定しており,また,同法55条の3第2項が準用する同法39条1項2号は,飛行場と航空保安施設とを併記した上,これらの設置が「他人の利益を著しく害することとならないものであること」を認可の審査事項としていることからすると,同法は,飛行場と同様,航空保安施設についても,その設置が「他人の利益」を害する場合を想定しているのであって,これらの規定及び「認可」との用語が用いられていることからすると,同法は,航空保安施設の設置,変更についても,これを「処分」とする旨の立法政策を採用しているというべきであるから,前記各変更認可はいずれも抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
  •  審決取消請求事件(東京高判平成21年05月29日)
    裁判所名:
    事件番号:平成19(行ケ)13
    1 東日本地区を業務区域として地域電気通信事業を営む会社が,戸建て住宅向けの光ファイバ設備を用いた通信サービスであるFTTHサービスを提供するに当たり,一芯の光ファイバを同時に複数の利用者で使用することにより使用料金を引き下げることを前提として総務大臣から接続約款変更の認可を受けながら,実際には電話局から加入者宅までの加入者光ファイバについて一芯の光ファイバを一利用者が使用する芯線直結方式によって提供することとし,かつ,そのサービスの利用者料金を,他の電気通信事業者が,前記会社の光ファイバ設備に芯線直結方式で接続して同様のサービスを提供する際に必要となる接続料金を下回る価格としたことにつき,新規事業者がFTTHサービスの利用者を獲得するためには,前記会社に対して前記接続料金を支払いながら,前記会社が設定した利用者料金に対抗する利用者料金を設定しなければならず,新規事業者が芯線直結方式による接続によって事業を展開するには,接続料金と利用者料金とに逆ざやが生じて,大幅な赤字を負担せざるを得なくなることから,新規事業者は芯線直結方式で前記会社の加入光ファイバ設備に接続してFTTHサービス事業へ参入することが,事実上著しく困難になっていたとして,前記会社の前記行為が,前記会社の光ファイバ設備に接続して戸建て住宅向けのFTTHサービスを提供しようとする事業者の事業活動を排除する行為に当たるとした事例

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