- 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件(東京高判平成21年10月20日)
裁判所名:
事件番号:平成21(う)1334
1 店舗に回胴式遊技機を設置し従業員十数名を用いて常習賭博を行っていた経営者の行為につき,その賭博行為による利益がいったん経営者のもとに集約された後,団体構成員である従業員らに配分されていたという事情(判文参照)の下では,その利益は,民事法上は経営者に帰属するとみることができるとしても,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律3条1項にいう「団体に帰属するもの」として,同条1項1号が適用される。
- 行政文書不開示決定処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第363号)(東京高判平成21年09月30日)
裁判所名:
事件番号:平成19(行コ)357
行政機関の保有する情報の公開に関する法律の規定に基づいて,各処分行政庁に対し,エネルギーの使用の合理化に関する法律(平成17年法律第93号による改正前)11条に基づく定期報告書の開示請求をした者が,前記報告書に記録された情報の一部が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条2号イに該当するとして一部不開示とする部分開示決定を受けたため,前記決定のうち前記不開示に係る部分の取消しと,前記不開示部分についての開示決定の義務付けを求めて提起した各訴えにつき,同号イにいう「当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」場合とは,当該情報を公にすることにより,当該情報に係る個々の法人等について,その権利,競争上の地位その他正当な利益が具体的に侵害される危険性の存することが客観的に認められる場合をいい,その危険性は,単なる確率的な可能性では足りず,法的保護に値する蓋然性をもったものでなければならないと解するのが相当であるとした上,同号イ該当性が認められるためには,定期報告書を提出した個々の事業者ごとに,当該定期報告書に記載されている燃料等の使用量等の情報を公にした場合に,その権利,競争上の地位その他正当な利益を害する具体的な危険性があることを主張,立証することが必要であるが,前記情報を公にすることにより,当該事業者の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることを認めるに足りる証拠はないから前記決定は違法な処分として取り消されるべきであり,かつ,処分行政庁が前記不開示部分に係る開示決定をすべきであることは同法5条の規定から明らかであると認められるとして,前記各請求をいずれも認容した事例
- 街頭宣伝活動禁止等本訴請求,反訴請求控訴,附帯控訴事件(通称 出版社街頭宣伝活動差止)(東京高判平成21年09月30日)
裁判所名:
事件番号:平成21(ネ)1752
- 健康保険受給権確認請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成18年(行ウ)第124号)(東京高判平成21年09月29日)
裁判所名:
事件番号:平成19(行コ)405
健康保険法(以下「法」という。)63条1項に規定する「療養の給付」に当たる療養(インターフェロン療法)に加えて,「療養の給付」に当たらない療養(活性化自己リンパ球移入療法)を併用する診療(いわゆる混合診療)を受けた場合であっても,「療養の給付」に当たる診療については,なお法に基づく「療養の給付」を受けることができる権利を有することの確認を求める請求につき,昭和59年改正により健康保険法(平成18年法律第83号による改正前。以下「旧法」という。)86条の特定療養費制度が創設され,専門的な検討を経て承認された高度先進医療を含む混合診療をこれを実施するにふさわしい医療機関として承認された特定承認保険医療機関において受けた場合に,その保険診療(療養の給付)に相当する基礎的診療部分について特定療養費を支給(保険給付)することとした趣旨に照らすと,旧法は,これに該当しない場合,すなわち高度先進医療を含む混合診療を特定承認保険医療機関以外の医療機関において受けた場合には,保険給付(特定療養費の支給,したがって,「療養の給付」に相当するもの)をしないものとしたと解されること,法86条の保険外併用療養費制度は,特定療養費制度を引き継いだもので,特定療養費制度を見直し,保険診療と保険外診療(自由診療)との併用を認める療養(診療)について,保険導入のための評価を行う評価医療と,保険導入を前提としない選定療養に再構成したものであり,従前の高度先進医療は,必ずしも高度ではない先進医療技術と共に,評価療養のうちの先進医療に分類され,これを実施し得る医療機関について,従前の特定承認保険医療機関の制度を廃止し,厚生労働大臣が定める要件を満たすものとして届け出た保険医療機関において実施し得るものとし,その療養に要した費用について,特定療養費と同様に算定される先進医療を除く保険診療(療養の給付)に相当する基礎的診療部分について保険外併用療養費を支給するものであることなどからすると,保険外併用療養費制度を導入した法の下においても,先進医療に係る混合診療については,保険外併用療養費の支給要件を満たす場合に限り,当該混合診療のうちの保険診療(療養の給付)に相当する基礎的診療部分について保険給付(保険外併用療養費の支給)が認められているものであり,これに該当しない場合には,保険診療に相当する基礎的診療部分についても,「療養の給付」として保険給付を受けることはできないとするとともに,法は,労働者の業務外の事由による疾病等に関して保険給付を行い,もって国民生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし(法1条),基本的理念として,健康保険制度については,給付の内容及び費用の負担の適正化,国民が受ける医療の質の向上等を総合的に図りつつ,実施されなければならない(法2条)としていること等に照らして,保険により提供する医療について,保険財源の面からの制約や,提供する医療の質(安全性,有効性等)の確保等の観点から,その範囲を限定することは,やむを得ず,かつ,相当なものといわざるを得ないのであって,保険により提供する医療の質の確保等という観点から保険外併用療養費制度に該当する混合診療とそれ以外の混合診療とで保険医療に相当する部分に係る保険給付の可否の区別を設けたことには,合理性が認められるので,憲法14条等に違反しないとして,保険外併用療養制度に該当しない混合診療であるインターフェロン療法と活性化自己リンパ球移入療法を併用して行う場合には,活性化自己リンパ球移入療法だけでなく,インターフェロン療法も「療養の給付」に当たらず,法による保険給付を受けられないとして,前記請求を棄却した事例
- 政務調査費返還命令処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成20年(行ウ)第114号)(東京高判平成21年09月29日)
裁判所名:
事件番号:平成21(行コ)2
区民であり区議会議員である者が区長から交付を受けた政務調査費から住民訴訟の提起及び遂行のためにした支出が違法又は不当な支出であるとしてされた政務調査費の一部の返還を命ずる処分の取消請求につき,政務調査費からの支出が区政の調査研究に資するために必要な経費以外の経費に係る支出であるか否かは,区の定める使途基準及び区議会運営委員会の定める申合せ事項に反するか否かを基準に判断するのが相当であるとした上,地方財務行政の適正な運営を確保するという目的を有する住民訴訟の提起及び遂行は,議員による区政に関する調査研究活動と,その目的において重なり合いを有するところ,住民訴訟の提起及び遂行並びに住民訴訟によって得た情報等に基づく様々な活動が区政の調査,研究及び追求のための重要な手段となっていること,住民訴訟の提起及び遂行は,特に議会において多数会派に所属しない議員にとって区政の調査及び追求をするための有効な手段となり得るものであって,住民に対する影響力も大きいこと,前記申合せ事項には政務調査費から住民訴訟についての経費を支出することが許されない旨の定めがないことに加え,住民訴訟の提起及び遂行によって得た情報等を基に,区の事務について議会における追求や区民に対する情報提供等が積極的に行われていることを考慮すると,前記支出は前記使途基準が定める調査研究費に当たるとして,前記請求を認容した事例
- 法人税更正処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成20年(行ウ)第466号)(東京高判平成21年09月24日)
裁判所名:
事件番号:平成21(行コ)85
1 法人税法施行令(平成18年政令第125号による改正前)22条2項にいう法人税法23条4項に規定する「関係法人株式等」とは,当該事業年度における配当等の支払の有無にかかわらず,法人の保有する関係法人株式等のすべてをいう。
- 不当労働行為救済命令取消請求控訴事件(通称 INAXメンテナンス救済命令取消)(東京高判平成21年09月16日)
裁判所名:
事件番号:平成21(行コ)192
- 建築許可差止請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成19年(行ウ)第585号)(東京高判平成21年09月16日)
裁判所名:
事件番号:平成21(行コ)37
東京都が都市計画法53条1項に基づいてした都市計画施設の区域内における建築許可処分の取消しを求める訴えにつき,都市計画法53条1項の規定の趣旨及び目的,関係法令である都市公園法1条,2条1項1号及び3条1項,同法施行令2条1項並びに東京都震災対策条例(平成12年東京都条例第202号)の趣旨及び目的,都市計画法が同法53条の許可の制度を通じて保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,同条1項の規定は,都市の健全な発展と秩序ある整備を図るなどの公益的見地から都市計画事業の円滑な施行の確保を図るとともに,当該都市計画施設に係る防災,避難等に関する機能が確保された都市計画事業の円滑な施行が阻害されることによって,災害時に拡大する火災等によって生命又は身体に著しい被害を受けるおそれのある個々の住民に対して,そのような被害から免れるという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当であるところ,当該都市計画施設につき都市計画事業が施行されて都市公園になったときは当該公園を避難場所として利用する蓋然性が客観的に高いと認められる住民らは,都市計画事業の支障及び遅滞により前記著しい被害を受けるおそれのある者に当たるから,都市計画施設に係る同法53条に基づく許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するとして,前記住民らの原告適格を肯定した事例
- 事業認可取消等,土地建物明渡請求処分取消,各建物明渡,損害賠償反訴請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第622号〔第1事件〕,同平成18年(行ウ)第336号〔第2事件〕,同年(ワ)第29737号〔第3事件〕,同年(ワ)第29743号〔第4事件〕,同平成19年(ワ)第4985号〔第5事件〕,同年(ワ)第13748号〔第6事件〕)(東京高判平成21年09月16日)
裁判所名:
事件番号:平成21(行コ)38
独立行政法人都市再生機構が施行する第一種市街地再開発事業に係る施行規程及び事業計画の変更で,新たな施行地区の編入を伴わないものについての認可は,都市再開発法が建築行為等の制限や宅地等の処分制限は同法60条2項各号に掲げる公告があった場合に生ずるものであると規定し,同機構が施行する事業について定める同法60条2項5号が「新たな施行地区の編入に係る事業計画の変更」と規定していることからすると,すべての変更認可について建築行為等や宅地等の処分の制限が生ずるのではなく,「新たな施行地区の編入に係る事業計画の変更」の認可の公告があった場合についてのみ,前記各制限が認められるにすぎないと解されることや,同法71条6項が「事業計画を変更して従前の施行地区外の土地を新たに施行地区に編入した場合」に限り,新たに権利変換を希望するか否か等を申し出ることと規定していることから,前記認可が公告されたとしても,前記各制限や権利変換に関する選択の強制という効果が新たに生ずるものではなく,当初の事業計画等の認可による効果が残存する状態にあると解するほかなく,施行地区内の宅地の所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものとはいえないから,前記認可は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
- 東京高判平成21年09月15日
裁判所名:
事件番号:平成21(く)445